トップページ文化・観光史跡・寺院・文化財指定文化財一覧>紅地格子・萌黄白段桐唐草文様片身替綾小袖

紅地格子・ 萌黄白段桐唐草文様片身替綾小袖 附、松文散し桐紋蒔絵箱

小袖は、左右の柄(文様)を違える片身替りと呼ばれる桃山時代に流行した斬新なデザインであり、身幅が広く、袖幅が狭い形態で桃山時代の特色を備えた桃山小袖である。また衽(おくみ)下(さ)がりが比較的短いことから桃山時代でも天正年間の後期に作られたものと思われる。
片身替りは柄(文様)の違う生地を使い縫い合わせてつくられるが、この小袖は、段織で柄(文様)を違えた一つの反物(生地)を用い、柄(文様)の変わり目(段)を肩にし、前と後及び左と右の柄(模様)を違えるという仕立で、あまり例にみないものである。このことは、当初から前後左右の文様を違えるデザインとした片身替り小袖を作ることを意識し、織られたと考えられる。

小袖は、三木合戦後(天正8年)羽柴秀吉から拝領した「母衣(ほろ)」として伝えられ大事に保管されていたことから、400年余りを経た「着物」としては保存状態がよく、左袖や裾に一部改変がみられ裏地を失っているもののほぼ完品な状態で残った桃山小袖の片身替り小袖として貴重なものである。
また、小袖を納めた蒔絵箱は、「高台寺蒔絵」と呼ばれる桃山時代を代表する蒔絵様式で作られたものであるが、箱の形態や大きさは類例のないもので本来の使用目的はわからない。蒔絵は、平蒔絵で五三の桐を配し、周辺には鼓胴に良く見られる車輪松を散し、桐の葉と車輪松の下地には梨地が施されている。

桃山時代の高台寺蒔絵であるが、天正年間に見られる平蒔絵の蒔放しではなく研ぎだしていることや、桐紋の葉先が丸みを帯び、全体の形としてはやや扁平で楕円ぽいことなどから慶長年間頃のものと考えられる。

小袖と蒔絵箱には僅かな時期差が見られるが、ともに桃山時代のもので貴重な文化財であることから指定する。ただし、申請物件は小袖であることから蒔絵箱については附けたし指定とする。

指定文化財一覧に戻る


▲小袖 
  身丈:130cm 袖丈:左44cm、右49.5cm 袖幅:23cm 



▲蒔絵箱
  形状:隅丸長方形  縦30cm、横76cm、高さ29.3cm
  蓋:甲盛塵居被蓋造 半裁截木瓜形手掛