○VDT作業における労働衛生管理基準
平成17年2月1日
訓令第1号
庁中一般
1 目的
この基準は、VDT(Visual Display Terminals)作業に関して厚生労働省が示した「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(平成14年4月5日付け基発0405001号)の趣旨を踏まえ、VDT機器を操作する際の労働衛生管理基準を定めることにより、本市に勤務する職員の健康保持と快適な職場環境づくりに資することを目的とする。
2 基本事項
(1) VDT作業とは、ディスプレイ、キーボード等により構成されるVDT機器を使用して、データの入力・検索・照合等、文章・画像等の作成・編集・修正等、プログラミング、監視等を行う作業をいう。
(2) VDT機器設置職場においては、VDT作業が特定の職員に偏らないように努めるものとする。
(3) VDT機器設置者、VDT機器管理者及びVDT作業に従事する者(以下「作業者」という。)は、この基準の遵守に努めるとともに、常に環境管理等の改善に努めるものとする。
3 環境管理
作業者の心身の負担を軽減し、作業者が支障なく作業を行うことができるよう、次によりVDT作業に適した作業環境管理を行うこと。
(1) 照明及び採光
ア 室内は、できるだけ明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせないようにすること。
イ ディスプレイを用いる場合のディスプレイ画面上における照度は500ルクス以下、書類上及びキーボード上における照度は300ルクス以上とすること。
また、ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと周辺の明るさの差はなるべく小さくすること。
ウ ディスプレイ画面に直接又は間接的に太陽光等が入射する場合は、必要に応じて窓にブラインド又はカーテン等を設け、適切な明るさとなるようにすること。
(2) グレア(まぶしさ)の防止
ディスプレイについては、必要に応じ、次に掲げる措置を講ずること等により、グレアの防止を図ること。
ア ディスプレイ画面の位置、前後の傾き、左右の向き等を調整させること。
イ 反射防止型ディスプレイを用いること。
ウ 間接照明等のグレア防止用照明器具を用いること。
エ その他グレアを防止するための有効な措置を講じること。
(3) 騒音の低減措置
VDT機器及び周辺機器から不快な騒音が発生する場合には、騒音の低減措置を講じること。
4 作業管理
(1) 作業時間等
ア 1日の作業時間
(ア) 作業区分A
別表における「作業区分A」に該当する作業に従事する者(以下「作業区分Aの作業者」という。)については、視覚負担をはじめとする心身の負担を軽減するため、ディスプレイ画面を注視する時間やキーを操作する時間をできるだけ短くし、他の作業を組み込むこと又は他の作業とのローテーションを実施することなどにより、一日の連続VDT作業時間が短くなるように配慮すること。
(イ) 作業区分B
別表における「作業区分B」に該当する作業に従事する者(以下「作業区分Bの作業者」という。)についても、同様に、VDT作業が過度に長時間にわたり行われることのないように指導すること。
イ 一連続作業時間及び作業休止時間
(ア) 「単純入力型」及び「拘束型」
別表における「作業の種類」の「単純入力型」及び「拘束型」に該当する作業に従事する者については、一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10分~15分の作業休止時間を設け、かつ、一連続作業時間内において1回~2回程度の小休止を設けること。
(イ) (ア)以外の型
別表における「作業の種類」の「単純入力型」及び「拘束型」以外の型に該当する作業に従事する者については、同様に作業休止時間及び小休止を設けるよう指導すること。
ウ 業務量への配慮
作業者の疲労の蓄積を防止するため、個々の作業者の特性を十分に配慮した無理のない適度な業務量となるよう配慮すること。
(2) VDT機器等
ア VDT機器の選択
VDT機器を事業場に導入する際には、作業者への健康影響を考慮し、作業者が行う作業に最も適した機器を選択し導入すること。
イ デスクトップ型機器
(ア) ディスプレイ
a 目的とするVDT作業を負担なく遂行できる画面サイズであること。
b フリッカー(ちらつき)は、知覚されないものであること。
c ディスプレイ画面上の輝度又はコントラストは、作業者が容易に調整できるものであること。
(イ) 入力機器(キーボード、マウス等)
a キーボードは、ディスプレイから分離して、その位置が作業者によって調整できるものであること。
b キーボードのキーは、文字が明瞭で読みやすく、キーの大きさ及びキーの数がキー操作を行うために適切であること。
c マウスは、使用する者の手に適した形状及び大きさで、持ちやすく操作がしやすいこと。
d キーボードのキー及びマウスのボタンは、ストローク及び押下力が適当であり、操作したことを作業者が知覚し得るものであること。
ウ ノート型機器
(ア) 適した機器の使用
目的とするVDT作業に適したノート型機器を適した状態で使用させること。
(イ) ディスプレイ
ディスプレイは、上記イの(ア)の要件に適合したものを用いること。
(ウ) 入力機器(キーボード、マウス等)
入力機器は、上記イの(イ)の要件に適合したものを用いること。ただし、ノート型機器は、通常、ディスプレイとキーボードを分離できないので、小型のノート型機器で長時間のVDT作業を行う場合については、外付けキーボードの使用に努めること。
(エ) マウス等の使用
必要に応じて、マウス等を利用できるようにすること。
(オ) テンキー入力機器の使用
数字を入力する作業が多い場合は、テンキー入力機器を利用できるよう努めること。
エ 携帯情報端末
携帯情報端末については、長時間のVDT作業に使用することはできる限り避けるよう努めること。
オ ソフトウェア
(ア) 目的とするVDT作業の内容、作業者の技能、能力等に適合したものであること。
(イ) 作業者の求めに応じて、作業者に対して、適切な説明が与えられるものであること。
(ウ) 作業上の必要性、作業者の技能、好み等に応じて、インターフェイス用のソフトウェアの設定が容易に変更可能なものであること。
(エ) 操作ミス等によりデータ等が消去された場合に容易に復元可能なものであること。
カ 椅子
(ア) 安定しており、かつ、容易に移動できること。
(イ) 床からの座面の高さは、作業者の体形に合わせて、適切な状態に調整できること。
(ウ) 複数の作業者が交替で同一の椅子を使用する場合には、高さの調整が容易であり、調整中に座面が落下しない構造であること。
(エ) 適当な背もたれを有していること。また、背もたれは、傾きを調整できること。
(オ) 必要に応じて適当な長さのひじ掛けを有していること。
キ 机又は作業台
(ア) 作業面は、キーボード、書類、マウスその他VDT作業に必要なものが適切に配置できる広さであること。
(イ) 作業者の脚の周囲の空間は、VDT作業中に脚が窮屈でない大きさのものであること。
(ウ) 高さの調整ができない机又は台を使用する場合は、床からの高さは作業者の体形にあった高さとし、高さの調整が可能なものを使用する場合は、作業者の体形にあった高さに調整できること。
(3) 調整
作業者に自然で無理のない姿勢でVDT作業を行わせるため、次の事項を作業者に留意させ、椅子の座面の高さ、キーボード、マウス、ディスプレイの位置等を総合的に調整させること。
ア 作業姿勢
(ア) 椅子に深く腰をかけて背もたれに背を十分にあて、履き物の足裏全体が床に接した姿勢を基本とすること。また、十分な広さをもち、かつ、すべりにくい足台を必要に応じて備えること。
(イ) 椅子と大腿部膝側背面との間には手指が押し入る程度のゆとりがあり、大腿部に無理な圧力が加わらないようにすること。
イ ディスプレイ
(ア) おおむね40センチメートル以上の視距離が確保できるようにし、この距離で見やすいように必要に応じて適切な眼鏡による矯正を行うこと。
(イ) ディスプレイは、その画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下になる高さにすることが望ましい。
(ウ) ディスプレイ画面とキーボード又は書類との視距離の差が極端に大きくなく、かつ、適切な視野範囲になるようにすること。
(エ) ディスプレイは、作業者にとって好ましい位置、角度、明るさ等に調整すること。
(オ) ディスプレイに表示する文字の大きさは、小さすぎないように配慮し、文字高さが概ね3ミリメートル以上とするのが望ましい。
ウ 入力機器
マウス等のポインティングデバイスにおけるポインタの速度、カーソルの移動速度等は、作業者の技能、好み等に応じて適切な速度に調整すること。
エ ソフトウェア
表示容量、表示色数、文字等の大きさ及び形状、背景、文字間隔、行間隔等は、作業の内容、作業者の技能等に応じて、個別に適切なレベルに調整すること。
5 健康管理
(1) 健康診断
ア 作業区分A
作業区分Aの作業者に対して1年以内ごとに1回、定期に、次の項目について健康診断を行うこと。
(ア) 業務歴の調査
(イ) 既往歴の調査
(ウ) 自覚症状の有無の調査
(エ) 眼科学的検査
(オ) その他医師が必要と認める検査
イ 作業区分B
作業区分Bの作業者については、上記ア(ア)、(イ)及び(ウ)の調査を実施し、医師の判断により必要と認められた場合に、(エ)及び(オ)の検査を行うこととする。
ウ 作業区分C
作業区分Cの作業者については、自覚症状を訴える者に対して、必要な上記アの調査又は検査を実施すること。
(2) 健康診断結果に基づく事後措置
健康診断の結果把握された健康阻害要因を調査、分析し、医師が異常又は異常が生じるおそれがあると認めた職員に対して、健康保持のための適切な措置を講じるとともに、必要な保健指導を行うものとする。
(3) 健康相談
作業者が気軽に健康について相談し、適切なアドバイスを受けられるように、プライバシー保護への配慮を行いつつ、メンタルヘルス、健康上の不安、慢性疲労、ストレス等による症状、自己管理の方法等についての健康相談の機会を設けるよう努めること。
(4) 職場体操
就業の前後又は就業中に、体操、ストレッチ、リラクゼーション、軽い運動等を行うこと。
6 労働衛生教育
VDT作業管理者及びVDT作業従事者に対して、作業環境管理、作業管理及び健康管理について適宜教育を行うものとする。また、VDT作業従事者に対し、必要に応じVDT作業の習得訓練を行うものとする。
附則
(施行期日)
1 この訓令は、平成17年2月1日から施行する。
(VDT作業における労働衛生管理基準の廃止)
2 VDT作業における労働衛生管理基準(平成6年三木市訓令第6号)は、廃止する。
別表(第4項関係)
作業区分 | 作業の種類 | 作業時間 | 作業の例 | 作業の概要 |
A | 単純入力型 | 1日4時間以上 | データ、文章等の入力 | 資料、伝票、原稿等からデータ、文章等を入力する。(CADへの単純入力を含む。) |
拘束型 | 受注、予約、照会等の業務 | コールセンター等において受注、予約、照会等の業務を行う。 | ||
B | 単純入力型 | 1日2時間以上4時間未満 | 単純入力型の業務 | 単純入力型の業務を行う。 |
拘束型 | 拘束型の業務 | 拘束型の業務を行う。 | ||
対話型 | 1日4時間以上 | 文章、表等の作成、編集、修正等 | 作業者自身の考えにより、文章の作成、編集、修正等を行う。 | |
データの検索、照合、追加、修正 | データの検索、照合、追加、修正をする。 | |||
電子メールの受信、送信 | 電子メールの受信、送信等を行う。 | |||
金銭出納業務 | 窓口等で金銭の出納を行う。 | |||
技術型 | プログラミング業務 | コンピューターのプログラムの作成、修正等を行う。 | ||
CAD業務 | コンピューターの支援により設計、製図を行う。(CADへの単純入力を除く。) | |||
監視型 | 監視業務 | 交通等の監視を行う。 | ||
その他の型 | 携帯情報端末の操作、画像診断検査等 | 携帯情報端末の操作、画像診断検査等を行う。 | ||
C | 単純入力型 | 1日2時間未満 | 単純入力型の業務 | 単純入力型の業務を行う。 |
拘束型 | 拘束型の業務 | 拘束型の業務を行う。 | ||
対話型 | 1日4時間未満 | 対話型の業務 | 対話型の業務を行う。 | |
技術型 | 技術型の業務 | 技術型の業務を行う。 | ||
監視型 | 監視型の業務 | 監視型の業務を行う。 | ||
その他の型 | その他の型の業務 | その他の型の業務を行う。 |
注:
1 各「作業の例」及び「作業の概要」は、作業を分類する場合の目安となるよう、現在、行われている典型的な作業について示したものであり、これ以外の作業の場合は、職場の作業実態に応じ、最も類似の作業の種類に分類し、労働衛生管理を進めること。
2 単純入力型とは、すでに作成されている資料、伝票、原稿等を機械的に入力していく作業をいう。
3 拘束型とは、コールセンター等における受注、予約、照会等の業務のように、一定時間、作業場所に在席するよう拘束され、自由に席を立つことが難しい作業をいう。
4 対話型とは、作業者自身の考えにより、文章、表等を作り上げていく作業等をいい、単に入力作業のみを行う者は含まない。
5 技術型とは、作業者の技術等により、コンピューターを用い、プログラムの作成、設計、製図等を行う作業をいい、CAD業務等において、主に機械的に入力する作業を行う場合は、単純入力作業型に分類すること。
6 監視型とは、交通等の監視の業務のように、常にディスプレイに表示された事項、画像等を監視する必要のある作業をいう。
7 その他の型とは、携帯情報端末の操作、画像診断検査等の業務のように、ディスプレイを備えた機器を操作する必要のある各種の作業をいう。
8 監視業務、携帯情報端末の操作、画像診断検査及びディスプレイを備えた機器を使用するその他の業務については、事務所以外の場所で行われる場合が多いが、その場合であっても、できる限りこの基準に準じて労働衛生管理を行うことが望ましいこと。
9 作業区分に際して、一人の作業者が複数の種類の作業を行う場合は、それぞれの作業時間を合計した時間がどの作業区分に該当するかにより判断すること。
なお、一人の作業者が、「単純入力型」と「対話型」のように、作業区分の分類を決定する作業時間が異なる複数の作業を行う場合は、行う作業時間が多い方の作業の種類で判断すること。
10 1日のVDT作業時間が時期により変動する場合は、平均値をとり平均時間がどの作業区分に該当するかにより判断すること。