選挙制度のあゆみ
選挙制度の移り変わり~制限選挙から普通選挙へ~
日本で初めての選挙
●明治23年(1890年)-制限選挙
日本で初めての選挙が行われたのは、1890年(明治23年)の衆議院議員選挙です。選挙権を得ることができたのは、満25歳以上の男性で直接国税を15円以上を納めている人だけでした。当時は、15円でお米が約300キロギラムも買うことができました。
※当時の有権者は約45万人で人口の約1パーセントでした。
25歳以上のすべての男性に選挙権
●大正14年(1925年)-男性だけの普通選挙
一部の人にしか選挙権が与えられていない制度に対して批判が出てきたことにより、少しずつ制度が改正されてきました。そして、大正14年の衆議院議員選挙法の改正により、納税要件がなくなり、満25歳以上のすべての男性に選挙権が認められました(男子による普通選挙の実現)。
※当時の有権者は約1,200万人で人口の約20パーセントでした。
男女平等に選挙権
●昭和20年(1945年)-女性にも選挙権
第2次大戦後、衆議院議員選挙法が改正され男女平等の完全普通選挙制度が確立しました。同時に年齢要件も満20歳以上に引き下げられました。
※当時の有権者は約3,700万人で人口の約50パーセントでした。
選挙権年齢の引き下げ
●平成28年(2016年)-70年ぶりの選挙年齢引き下げ
選挙権年齢が満20歳以上から満18歳以上に引き下げられました。選挙権年齢の引き下げは、実に70年ぶりのことです。
※当時の有権者は約1億620万人で人口の約80パーセントになりました。
日本の選挙制度の歴史(抄録)
年 号 | できごと | 概 要 | |
---|---|---|---|
1889 | 明治 22年 |
大日本帝国憲法を発布 | |
議員法、衆議院議員選挙法を公布 | 「満25歳以上、直接国税15円以上を納める男子」 | ||
1890 | 明治 23年 |
第1回衆議院議員総選挙の実施 | |
1900 | 明治 33年 |
衆議院議員選挙法改正 | 「満25歳以上、直接国税10円以上を納める男子」 |
1919 | 大正 8年 |
同上 | 「満25歳以上、直接国税3円以上を納める男子」 |
1925 | 大正 14年 |
同上(男子普通選挙政成立) | 「満25歳以上のすべての男子」 |
1945 | 昭和 20年 |
第2次大戦終戦 | |
衆議院議員選挙法改正 | 女性の参政権を認め、満20歳以上のすべての国民が選挙権を有する「完全な普通選挙」が実現 | ||
1946 | 昭和 21年 |
日本国憲法の公布 | |
1950 | 昭和 25年 |
各選挙法をまとめた「公職選挙法」を公布 | |
2003 | 平成 15年 |
期日前投票の制度の創設など | |
2013 | 平成 25年 |
インターネット選挙運動の解禁など | |
2016 | 平成 28年 |
選挙権年齢が満18歳以上に引き下げなど |
現在の選挙 日本国憲法で定められている選挙の基本原則
1 普通選挙
選挙権は、18歳に達したらすべての国民に与えられます。
【第15条第3項】
・公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
2 平等選挙
選挙人(有権者)一人に一票で、選挙権の付与は性別・学歴などで差別されません。
【第14条第1項】
・すべての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的または社会的関係において差別されない。
【第44条】
・両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める、但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない。
3 秘密選挙
誰が誰に投票したか分からない方法で選挙が執行されます。
【第15条第4項】
・すべての選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない、選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任は問われない。
4 自由選挙
選挙人の自由な意思によって行う選挙、政党結成の自由、選挙運動の自由などを言います。
【第21条第1項】
・集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
5 直接選挙
有権者自身の投票によって当選者が決まる制度です。
【第93条第2項】
・地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。