日本経済新聞の題字を手がけたことでも知られる吉川町出身の書道家上田桑鳩(1899〜1968年)。
きれいな字を書くことにこだわらず墨のかすれや空間をうまく使って書くなど前衛書道の先駆者としてさまざまな作品を残しました。
今回は上田桑鳩の人物像や関連する企画展について紹介します。
絶筆(ぜっぴつ)
心(こころ)
寂照(じゃくしょう)
陶皿(すえざら)
私は吉川高校に書道教員として着任し、「みなぎの書道展」の創設などで上田桑鳩に接してきました。
桑鳩さんは書道の古典研究を基礎として、表現の自由を求め、時代の変化や書道以外の芸術を取り入れながら現代書(前衛書道)と向き合った人物です。桑鳩さんの作品は、どんな思いで書いたのか、見る人により異なるとらえ方ができることが魅力の一つだと思います。
令和4年度、お孫さんから桑鳩さんの作品や愛用されていた机などが市に寄贈されました。
令和4年10月から堀光美術館で行われる上田桑鳩展では、日展(日本美術展覧会)などに出品した代表作や迫力のある大型の作品を中心に、桑鳩さんの生涯を貫く叫びの書が一堂に展示されます。作品に書かれた言葉の面白さにも注目してほしいです。
文字を書く行為は、美しく書くことがすべてではなく、気持ちを表現することもできます。日常で文字を書く機会が減ってきている今だからこそ、桑鳩さんの表現のすばらしさに触れてもらいたいと思います。
みきのえぇトコ第39回「前衛書道のパイオニア 上田桑鳩(うえだそうきゅう)」を掲載した広報みき10月号(2022年)はこちら
文化・スポーツ課 文化芸術係
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